賢くなったり筋肉がついたりするのは、金持ちにお金が集まるようなポジティブフィードバックの働きによるもので、階層構造を生み出し、環境適応や進化を促します。逆に、ネガティブフィードバックはばねのように復元力として働きます。生物も、この2つがアクセルとブレーキとなって、恒常性を維持しながら進化するのです。
このようにバランスを保ちながら変化するシステムは、沢山のパーツの可変な組み合わせ、つまり相互作用のネットワークによって現れ、抵抗が小さくなるように変化していくことが分かってきました。
そこで、勝手に階層構造を生み出し、環境に合わせて微細構造を変えて盛衰し、多少の修復能力も持つようなものを作ってやろうと、血管網や脳神経回路を手本にしたネットワーク作りに挑んでいます。高分子ゲル、界面活性剤、コレステロール、カーボンナノチューブなど使えるものは何でも使い、物理や生物の知識も総動員して取り組んでいます。
生体の知恵に驚かされつつ、夢は大きく小さなことからコツコツと。
タンパク質は生物が生きる上での多くの反応に関与しています。たとえば、呼吸で酸素を取り入れたときにはタンパク質が酸素を運び、細菌が侵入したときにはタンパク質が細菌を破壊してくれます。接触するさまざまな物質に対して、タンパク質は自分の体を立体的に動かすことで、機能のONとOFFを切り替えているのです。
タンパク質の正体は、たくさんのアミノ酸が順番につながった高分子です。私たちの研究室では、タンパク質と同じアミノ酸をつなげたペプチドを合成し、分子と接触したときの立体構造変化に着目しています。ペプチドもまた接触する分子の構造が少し違っているだけで立体的に動きます。
化学構造の組み合わせ次第でゼリー化が起こったり、二層分離が起こったりさまざまな表情を表すところがペプチドの興味深い一面です。